「毎日マニュアル通りに清掃しているのに、クリーンルーム内の粉塵量が減らない」「規格値を超える微粒子が検出される原因の特定に苦慮している」という切実な悩みは、半導体や精密電子機器、医薬品、バイオ関連工場の設備管理担当者や品質管理責任者から非常に多く寄せられています。
本記事では、関西全域で多数のクリーンルームや工場塗床工事を手がける株式会社テンマが、確認すべき施設全体のチェック事項やルール遵守の重要性、床の劣化サインの見極め方、補修・改修の判断基準について、わかりやすく解説します。
■清掃時に確認することと、施設のSOPや床材仕様への準拠

クリーンルーム内の清浄トラブルに直面したら、まずは日常の清掃運用が正しく機能しているか、設置されている床材の物理的・化学的仕様に適合している清掃方法かという点について確認することが重要です。
・清掃方法は施設のSOPに従う
クリーンルームの清掃方法は、すべての施設に共通する絶対的な正解が存在するわけではありません。重要なのは、各施設が自社の製造品目や要求される清浄度クラス(ISOクラス等)に基づいて策定した「SOP(標準作業手順書)」や運用ルールに従い、全員が徹底して確実に実施することです。
例えば、ワイパーやモップの動かし方は、ランダムな往復運動では一度床に落ちた沈降粒子を摩擦や気流で再び空気中へ巻き上げるリスクがあるため、気流の方向や室内の動線に沿った「一方向清掃」が推奨されるケースが一般的です。しかし、すべてのケースに当てはまるわけではないため、自社のSOPに正しく準拠しているかを確認しなければなりません。
一方で、「ほうきや乾いたモップでの乾式清掃のみで済ませている」「清掃用のモップや雑巾を清浄度の異なる区画間で使い回している」といった粗雑な運用が定着してしまっている場合、清掃作業自体が甚大な発塵源になっているケースも少なくありません。
・床材の種類による洗剤耐性の違い
清掃方法や使用する薬剤は、施設で使用されている塗床材の仕様・耐性に適合させる必要があります。例えば、クリーンルームで広く採用されている「エポキシ樹脂系塗床」は、高い表面硬度と優れた機械的強度を備えており、物理的な荷重や衝撃に強いのが特徴の床材です。
しかし、清掃や殺菌の際に、強溶剤系洗剤や、強力な油汚れ落としとして知られるオレンジ系洗剤(リモネン成分含有)などを使用すると、樹脂の化学結合を傷め、塗膜表面を劣化させてしまう恐れがあります。塗床の表面が微細に荒れてしまうと、摩擦による摩耗粉塵の発生要因となってしまいます。
床材を選定・管理する際は、塗床樹脂の種類や床材メーカーの耐薬品性表、施設SOPを必ず確認し、適切な洗剤を選ぶことが不可欠です。例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液に対して非常に高い耐性を示す水性硬質ウレタン系やエポキシ系など、現場に施工されている床材の化学的特性に合わせた適切な「ケミカルコントロール」が求められます。
・発塵のさまざまな原因(人・設備・空調・搬入物など)
施設のSOPに忠実に従って清掃を徹底しても粉塵量が改善しない場合でも、「原因はすべて床にある」と即座に断定することはできません。クリーンルーム内における発塵原因は多岐にわたるため、まずは施設全体を俯瞰し、段階的に原因を追求していく必要があります。具体的なチェック項目は、以下の通りです。
【人からの発塵】
・作業員の無塵衣・無塵靴の着用ルールや洗濯頻度は守られているか
・入室時のエアーシャワーの浴び方や稼働時間は適切か
【設備からの発塵】
・稼働している製造機械の摺動部、ベアリング、ベルト駆動部やモーター類から微少な摩耗粉が発生していないか
【空調(HVAC)からの影響】
・天井のHEPAフィルターやULPAフィルターの目詰まりはないか
・枠組からの漏れ(リーク)はないか
・経年劣化による清浄機能の低下が起きていないか。
【搬入物からの持ち込み】
・外部から持ち込まれる資材用パレットや段ボール、梱包材など、前室での除塵・清浄化工程に漏れや不備がないか。
【壁面や目地からの発塵】
・壁パネルや天井パネルの隙間、各種目地シーリング材の経年劣化や割れによって、内部から粉塵が飛散・落下していないか。
上記の要因を一つひとつ確認・検証し、すべてにおいて問題がない、あるいは改善を施したにもかかわらず依然として足元周辺からの粒子発生が疑われる場合に、初めて「塗床材自体の劣化・摩耗による発塵」を本格的に疑うのが正しい診断アプローチです。
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■床劣化を疑うサインと補修・改修を検討すべき状態

清掃方法や外部要因に問題がない場合、床の表面そのものが物理的・化学的に破壊され、粒子を放出し続ける「発塵源」となっている可能性が極めて高くなります。
・粉化・摩耗・剥離の見極め方
塗床材の劣化を示す代表的なサインには、主に以下の3つの症状があります。
●粉化(チョーキング)
清掃直後でも床面に白っぽい微粉末が浮き出てくる、拭き上げても特定のエリアだけすぐに白く汚れた状態に戻ってしまう症状です。紫外線や薬品、経年変化によって塗床樹脂の分子結合が破壊され、樹脂表面が粉状に分解・退化しているサインのひとつです。
●摩耗(塗膜の摩滅)
優れた耐摩耗性を誇るエポキシ樹脂であっても、重量物を含んだ搬送台車やAGVの往来が集中する場所では摩擦によって表面のトップコートが失われ、摩耗が進行します。通路部分だけが光沢を失い、白っぽく擦り減っている場合は、樹脂の摩耗粉が発塵源になっている可能性が高いです。
●剥離・クラック(浮き・ひび割れ)
下地の湿気や熱ショック、過度な局所衝撃などが原因で、塗膜の浮きや剥がれ、クラックが生じるケースがあります。塗膜が剥離して素地のコンクリート面が露出すると、コンクリートに含まれるセメント粉末がダイレクトに室内に飛散してしまいます。
・補修・改修を検討すべき状態
粉化・摩耗・剥離が発生している床面は、表面に微細な凹凸や段差が多数形成されています。拭き上げ用の不織布ワイパーやモップの繊維が引っかかってしまうため、こすればこするほど繊維くずや床の摩耗粉を巻き散らかしてしまうという悪循環に陥ります。
こうなってしまうと、清掃手順の見直しや洗剤の変更だけでは根本的な解決にはならないため、速やかに部分補修や全面的な塗床改修工事を検討しなければなりません。
「クリーンルームの床を改修したいけど、生産ラインや工場全体を止めることはできない」という懸念がある場合でも、現代の塗床技術では柔軟な対応が可能です。
例えば、数分で速やかにゲル化し、1〜3時間程度で実用強度に達するカートリッジ式エポキシ樹脂(プラントリペア等)を活用すれば、稼働への影響を最小限に抑えたピンポイントでの超速乾簡易補修が可能です。

製造工場を稼働させたまま実施した塗床改修事例です。水性仕様の工法を採用したことで、施工中の不快な臭気を大幅に抑え、工場を休止させることなく、平日の稼働下での安全な施工が可能となりました。
参照:施工事例「製造工場塗床改修工事」より
https://www.e-temma.com/gallery_list/factory/40230
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■床の粉化・摩耗・剥離について現地調査を相談する

SOPに基づく清掃手順を徹底し、人・設備・空調などの外部要因を網羅的に除外してもクリーンルーム内の粉塵量が減らない場合は、塗床の専門業者による精密な現地調査が必要です。
株式会社テンマでは、半導体工場や医薬品クリーンルームをはじめとする高度な衛生・清浄環境が求められる産業施設の塗床工事を専門に手がけております。現状の床の摩耗度合い、塗膜の密着性、粉化の進行状況を専門家の目で診断し、設置されている床材の樹脂特性や現場の稼働条件に合わせた最適な改修プランをご提案いたします。
安全・スピーディーに施工できる体制と豊富なノウハウを整えておりますので、クリーンルームの発塵や床の劣化でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
▼ 床の粉化・摩耗・剥離について現地調査を相談する

